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化学工業の省力化補助金|対象設備・補助額・申請2026

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塗料・接着剤・化粧品原料・樹脂加工・工業薬品の小分けなど、化学製品を扱う中小企業の現場では、原材料の計量や混合、ボトルや容器への充填・包装、工場内の搬送、製品検査といった工程に人手がかかり、人手不足への対応が課題になっています。中小企業省力化投資補助金は、こうした工程を自動化する設備の導入費用を補助する制度で、化学工業

化学工業の省力化課題と中小企業省力化投資補助金の結論

塗料・接着剤・化粧品原料・樹脂加工・工業薬品の小分けなど、化学製品を扱う中小企業の現場では、原材料の計量や混合、ボトルや容器への充填・包装、工場内の搬送、製品検査といった工程に人手がかかり、人手不足への対応が課題になっています。中小企業省力化投資補助金は、こうした工程を自動化する設備の導入費用を補助する制度で、化学工業(日本標準産業分類上は製造業に区分される業種)の中小企業も対象になります。

結論から言うと、原材料の自動計量・混合・搬送装置やボトル充填・包装関連機器、搬送・自動倉庫機器など、カタログに掲載された汎用設備を選べる場合は審査なしで申請できるカタログ注文型(補助率1/2以下、補助上限は従業員規模に応じて500万〜1,000万円、大幅な賃上げを達成した場合は750万〜1,500万円)が最短ルートです。反応槽や専用の配合・充填ラインなど化学プラント固有の設備を含む大規模投資は、審査を伴う一般型(補助率は中小企業1/2〜2/3、小規模企業者等2/3、補助上限は従業員規模に応じて750万〜8,000万円、大幅な賃上げ達成時は最大1億円)を検討します。

この記事でわかること

  • 化学工業でカタログ注文型を使える設備(原材料自動計量混合搬送装置、ボトル充填・包装関連機器、搬送・自動倉庫機器、検査・計測機器など)
  • 2026年9月10日時点の補助率・補助上限額・公募スケジュール(公式ポータルの数値)
  • 製品カテゴリの公式説明が「化学工業」「化粧品」「塗料」「樹脂成形業」を明記している対象工程
  • 申請の流れとチェックリスト、カタログに製品がまだ登録されていないカテゴリを選ぶ場合の注意点

制度全体の仕組みをまず知りたい場合は中小企業省力化投資補助金2026年版の公式ガイドもあわせてご覧ください。金属加工業向けの活用例は鉄鋼・金属加工業の省力化補助金活用ガイドで解説しています。

化学工業の事業規模(日本化学工業協会の統計)

化学工業は製造業の中でも規模の大きい業種です。日本化学工業協会が経済構造実態調査をもとに公表している2023年データでは、化学工業(狭義)の全国の事業所数は5,641事業所、従業者数は39万8,040人、出荷額は33兆3,840億円にのぼります。プラスチック製品・ゴム製品を含む広義の化学工業では出荷額50兆8,830億円(製造業全体の13.6%)と、輸送用機械器具に次ぐ規模です。

本記事が対象とする塗料・接着剤・化粧品原料・樹脂加工・工業薬品の各分野は、いずれも事業所の大半が中小企業とみられる分野です。業種別の内訳は次のとおりです。

業種区分事業所数従業者数出荷額付加価値額
塗料46217,483人1兆3,350億円5,290億円
ゼラチン・接着剤1506,660人4,650億円1,510億円
化粧品・歯磨・その他の化粧用調整品68948,178人2兆1,350億円1兆1,200億円
プラスチック(有機化学工業製品の内数)28038,725人3兆9,570億円9,840億円
無機化学工業製品99237,978人3兆2,700億円8,550億円
化学工業計(狭義)5,641398,040人33兆3,840億円11兆9,710億円

出典:日本化学工業協会「化学工業の主要指標とその構成比(2023年)」(資料:経済構造実態調査 製造業事業所調査、全事業所・個人経営除く)。2026年9月10日確認。

中小企業省力化投資補助金の要点(カタログ注文型・一般型)

中小企業省力化投資補助金にはカタログ注文型一般型の2つの類型があります。いずれも中小企業庁・中小機構が実施する制度で、対象は人手不足に悩む中小企業等です。まずは補助率・補助上限額・現行の公募スケジュールを整理します。どちらを選ぶべきかの詳しい比較はカタログ注文型と一般型の比較記事で解説しています。

カタログ注文型の補助率・補助上限額(2026年3月19日改定後)

カタログ注文型は、あらかじめカタログに登録された省力化製品を、共同申請する販売事業者と選ぶ制度です。2026年3月19日の制度改定で、従業員20人以下の補助上限額が引き上げられました。

従業員数補助率補助上限額(通常)補助上限額(大幅な賃上げ達成時)
5人以下1/2以下500万円750万円
6〜20人1/2以下750万円1,000万円
21人以上1/2以下1,000万円1,500万円

2026年3月19日以降の申請に適用される数値です。改定前(2026年3月16日17:00までに不備なく受理された申請のみ適用)は5人以下200万円(賃上げ時300万円)、6〜20人500万円(同750万円)、21人以上1,000万円(同1,500万円)でした。大幅な賃上げの目標は「事業場内最低賃金を3.0%(日本銀行の物価安定の目標2%+1.0%)以上増加」かつ「給与支給総額を6%以上増加」。労働生産性については、補助事業終了後3年間、年平均成長率3.0%以上の向上目標を定めた事業計画が必要です。出典:中小企業省力化投資補助事業公式ポータル「カタログ注文型とは」「2026年3月19日制度改定」(2026年9月10日確認)。

交付決定前の発注・購入は補助対象外

カタログ注文型・一般型に共通して、交付決定通知を受け取る前に発注・購入した製品は補助対象外です。中古品や、消費税などの公租公課も対象外経費に含まれます。見積書の取得はできますが、発注書・契約書の締結は必ず採択後に行ってください。

一般型の補助率・補助上限額

一般型は、化学プラント特有の反応槽や専用配合ラインなど、カタログにない個別現場向けのオーダーメイド設備・システムを対象に、事業計画の審査を経て採択されます。

従業員数補助上限額(通常)補助上限額(大幅な賃上げ達成時)
5人以下750万円1,000万円
6〜20人1,500万円2,000万円
21〜50人3,000万円4,000万円
51〜100人5,000万円6,500万円
101人以上8,000万円1億円

補助率は中小企業1/2(最低賃金引上げ特例の要件を満たす場合2/3)、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者は2/3。大幅な賃上げの達成は補助率ではなく補助上限額の引き上げ(上表括弧内の額)につながります。基本要件として、労働生産性の年平均成長率+4.0%以上、1人当たり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上、事業所内最低賃金が都道府県最低賃金+30円以上の水準であることなどが必要です(従業員21名以上の場合は次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の公表も要件)。対象経費は機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費。事業実施期間は交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内)。出典:中小企業省力化投資補助事業公式ポータル「一般型とは」(2026年9月10日確認)。

現行の公募スケジュール(2026年9月10日時点)

類型状況スケジュール
カタログ注文型交付申請随時受付中先着順。改定後の申請受付期間は2027年3月末頃まで延長予定
一般型 第7回採択発表待ち公募開始2026年6月5日/受付開始2026年7月1日/締切2026年7月31日17:00/採択発表2026年11月中旬(予定)
一般型 第8回公募中公募開始2026年8月18日/受付開始2026年9月中旬(予定)/締切2026年10月中旬(予定)/採択発表2027年2月上旬(予定)

出典:中小企業省力化投資補助事業公式ポータル トップページおよび「スケジュール(一般型)」(2026年9月10日確認)。一般型の公募回は年3〜4回のペースで実施されています。参考として一般型第6回は申請1,841件に対し採択1,176件でした(出典:同ポータル「採択結果」、2026年9月10日確認)。GビズIDプライムアカウントは取得に一定の期間を要するため、申請を検討する場合は早めの取得をおすすめします。

化学工業で対象になりやすい設備(自動計量・充填包装・搬送・検査・自動倉庫)

2026年9月3日版の製品カタログ(登録製品数は2026年8月28日時点)には195の製品カテゴリ・2,932件の製品が登録されています。「化学」を業種名に含む専用カテゴリはありませんが、原材料の計量・混合、容器への充填・包装、工場内搬送、検査・計測といった汎用工程を切り出したカテゴリの中には、公式の製品カテゴリ説明で化学工業・化粧品・塗料・樹脂成形業を名指ししているものがあります。以下は化学工業に関連の深いカテゴリの一覧です。

製品カテゴリ(公式名)対象業務プロセス価格目安(公式)カタログ登録数
(2026年8月28日時点)
公式の想定利用者・活用例
原材料自動計量混合搬送装置加工・生産200万円程度から22件プラスチック製品および色付き容器などの装飾品を生産する事業者。着色剤・添加剤の計量・攪拌・搬送を自動化
ボトルマーク合わせ装置加工・生産300万円程度から0件(未登録)飲料・化粧品・調味料等のボトル製品を製造する中小事業者。充填・キャッピング・ラベリング・印字工程の向き合わせ
シュリンクフィルム収縮装置加工・生産、梱包・加工300万〜600万円1件食品・化粧品・日用品などを製造・梱包している中小の製造業者
オートラベラー加工・生産、梱包・加工、保管・在庫管理数百万円程度26件製造業、倉庫業、卸売業、小売業でラベル貼付作業を行う事業者
真空ろ過脱水装置分別業務600万円程度から0件(未登録)金属加工業・めっき加工業の加工排水・汚泥の脱水、自動車整備業の塗装ブース排水(塗料ミスト・スラッジの回収)
無人搬送車(AGV・AMR)資材調達、加工・生産、検査、保管・在庫管理、入出庫数百万〜1,000万円程度43件製造業の工場や倉庫業などで手押し台車等での搬送を行っていた事業者
自動倉庫保管・在庫管理、入出庫小型2,000万円程度から19件製造業、倉庫業、卸売業、小売業などで入出庫・在庫管理を人力で行っていた事業者
パレタイズロボット入出庫、加工・生産、梱包・加工約400万〜3,000万円程度45件製造業、倉庫業、卸売業で出荷作業や物流業務等に携わる事業者
検品・仕分システム保管・在庫管理、入出庫数百万〜1,000万円程度6件製造業の工場や倉庫業などで目視による検品・仕分業務を行っていた事業者
RFIDによる一括読み取りシステム入出庫、保管・在庫管理ゲート型〜700万円/定置型〜800万円/ハンディ型〜650万円8件倉庫業、製造業、小売業など。製造業では資材のロット管理・部品トレーサビリティに活用
CNC三次元測定機検査1,600万〜2,500万円程度から76件「輸送用機器、化学工業、生産用機械器具、電気機械器具など」の製造業に携わる事業者(製品カテゴリの公式説明が化学工業を明記)
自動画像測定機検査約600万〜3,000万円程度から25件「電子部品製造業、自動車部品製造業、金属加工業、樹脂成形業など」精密な寸法測定が必要な製造業(樹脂成形業を明記)
自動分析計測機器計測・分析200万〜1,000万円4件主に食品・製薬関連事業者など「データを正確に測る必要がある」事業者。品質管理・安全性確認・成分分析に活用
パレットストレッチフィルム包装機保管・在庫管理、梱包・加工、出荷約150万円程度から0件(未登録)パレット単位で製品・商品を出荷している製造業、卸売業、物流業の事業者

登録製品数が0件のカテゴリは今すぐ選べない場合がある

真空ろ過脱水装置、ボトルマーク合わせ装置、パレットストレッチフィルム包装機は、カテゴリ自体は承認されているものの、2026年8月28日時点でカタログに登録された具体的な製品がありません。カタログ注文型はカタログに掲載された製品を選んで申請する仕組みのため、登録製品が無い間は候補メーカー・販売事業者に登録状況を確認するか、一般型での申請を検討する必要があります。カテゴリと製品の登録の仕組みは製品カタログ登録の仕組みガイドで解説しています。

化学プラント本体の反応槽・蒸留塔・配合槽といった専用設備は、2026年9月10日時点のカタログには該当カテゴリが見当たりません。こうした化学工業固有の設備投資は、審査を伴う一般型での申請が基本になります。同じ製造業向けの活用例として鉄鋼・金属加工業の省力化補助金活用ガイドも参考になります。

原材料の自動計量・混合・搬送と充填・包装

製品カテゴリ「原材料自動計量混合搬送装置」の公式説明は、プラスチック製品製造工場で成形材料(ペレット)に着色材・添加剤を加える際、規定の配合比率にあわせて自動で計量・混合し、成形機まで自動搬送するシステムと定義されています。想定利用者は「プラスチック製品および色付き容器などの装飾品を生産する事業者」で、樹脂加工の現場で従来手作業だった計量・攪拌・搬送を自動化する例として明記されています。工業薬品や塗料原料の調合工程でも、原材料の計量・混合・搬送という業務プロセス自体は共通するため、対象になり得るか販売事業者に確認する価値があります。

容器への充填・包装では、「ボトルマーク合わせ装置」が飲料・化粧品・調味料等のボトル製品の充填・キャッピング・ラベリング・印字工程を想定利用シーンとして明記しています。「シュリンクフィルム収縮装置」も食品・化粧品・日用品を製造・梱包している中小の製造業者を想定利用者としており、化粧品原料メーカーの外装作業に活用できる可能性があります。自動計量機・包装機の対象カテゴリをさらに詳しく知りたい方は自動計量機・包装機の補助金活用ガイドで解説しています。

工場内搬送・自動倉庫

危険物や重量物を扱う化学工業の現場では、原料ドラム缶やペール缶、樹脂ペレットの搬送に人手がかかりがちです。「無人搬送車(AGV・AMR)」は台車の自動化機器として製造業の工場や倉庫で活用でき、「パレタイズロボット」は箱詰めされた製品や荷物をパレットに積み上げる作業を代替します。「自動倉庫」はパレット・ケース・コンテナの入出庫・保管を自動化し、ロケーション管理・在庫管理・日付管理の自動処理が可能です。原料や製品のロット管理・トレーサビリティが必要な化学製品では、「RFIDによる一括読み取りシステム」も製造業における資材のロット管理・部品トレーサビリティの活用例として公式に紹介されています。

検査・計測

検査・計測分野では、「CNC三次元測定機」の製品カテゴリ説明が主に利用が想定される中小企業として「輸送用機器、化学工業、生産用機械器具、電気機械器具などの製造業に携わる事業者」を明記しており、化学工業がカテゴリ説明に直接記載された数少ない例です。「自動画像測定機」も「電子部品製造業、自動車部品製造業、金属加工業、樹脂成形業など」を想定利用者に挙げており、樹脂加工を行う化学工業の関連企業も対象に含まれ得ます。「自動分析計測機器」は品質管理・安全性確認・成分分析・医薬品の有効成分量の定量計測に活用される機器で、公式の想定利用者は主に食品・製薬関連事業者とされています。AIを使った外観検査・検品の対象カテゴリは検品・検査AIの補助金活用ガイドで詳しく解説しています。

排水・廃棄物処理

塗料・接着剤の製造・使用工程では、塗装ブースの排水やスラッジの処理が課題になりやすい分野です。「真空ろ過脱水装置」の公式な活用事例には、自動車整備業の塗装ブース排水等で発生する汚泥・スラリーの処理として「これまで手作業で行っていた塗装ブースにおける塗料ミスト(スラッジ)の回収作業、搬送作業」を削減する例が明記されています。塗料の製造・小分けを行う化学工業の現場でも、同様の固液分離・脱水工程に応用できる可能性があります。ただし2026年9月10日時点で登録製品は0件のため、導入を検討する場合は候補メーカーへの確認が必要です。

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導入費用と補助額のシミュレーション(モデルケース)

以下は、公式ポータルの補助率・補助上限額と、製品カタログに記載された価格目安を組み合わせた試算例です。実在の企業の数値ではなく、あくまでモデルケースであり、採択や補助額を保証するものではありません。実際の導入費用は見積り内容により異なるため、必ず正式な見積書を取得してください。

モデルケース1:樹脂加工工程の原材料自動計量混合搬送装置(カタログ注文型・従業員15名)

導入費用(例)

250万円

従業員区分・補助上限

6〜20人:750万円

補助率

1/2以下

補助額(試算)

125万円

自己負担額(試算)

125万円

原材料自動計量混合搬送装置は公式カタログで200万円程度から導入可能とされています。補助上限額(750万円)に対して十分に余裕があるため、複数台の導入や周辺設備とあわせた申請も検討できます。

モデルケース2:化粧品受託製造の充填・包装ライン(カタログ注文型・従業員5名以下)

導入費用(例)

600万円

内訳(例)

ボトルマーク合わせ装置300万円+シュリンクフィルム収縮装置300万円

従業員区分・補助上限

5人以下:500万円

補助率

1/2以下

補助額(試算)

300万円(上限500万円の範囲内)

自己負担額(試算)

300万円

カタログ注文型の補助率は従業員規模にかかわらず1/2以下です。ボトルマーク合わせ装置・シュリンクフィルム収縮装置とも、公式カテゴリ説明で化粧品製造業者を想定利用者に挙げています。両カテゴリとも2026年9月10日時点の登録製品数が少ない(前者0件、後者1件)ため、実際に選べる製品があるかを事前に確認してください。

モデルケース3:塗料製造の排水処理自動化(一般型・従業員30名)

導入費用(例)

3,000万円

設備(例)

真空ろ過脱水装置+付帯工事

従業員区分・補助上限

21〜50人:3,000万円

補助率

1/2(中小企業)

補助額(試算)

1,500万円

自己負担額(試算)

1,500万円

真空ろ過脱水装置は公式カタログで600万円程度からの価格帯です(処理能力・ろ材により変動)。上記の導入費用3,000万円は反応槽周辺の付帯工事費まで含めたモデルケースとしての試算です。一般型は事業計画の審査があり、採択発表まで応募申請から3か月程度、交付決定まではさらに期間を要します。付帯工事費が対象経費に含まれるかは公募要領の確認が必要です。

化学工業特有の要件・注意点

化学工業ならではの申請時の注意点を整理します。

中小企業・小規模事業者の定義(製造業)

化学工業は中小企業基本法上「製造業その他」に区分されます。中小企業庁の定義では、資本金の額または出資の総額が3億円以下、または常時使用する従業員の数が300人以下の会社・個人が中小企業者、常時使用する従業員が20人以下の場合は小規模企業者となります。本補助金の補助上限額表もこの従業員数区分にもとづいています。自社がどちらに該当するかを先に確認しておくと、補助上限額の見込みが立てやすくなります。出典:中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義」(2026年9月10日確認)。

危険物・薬機法など個別の法規制への対応

塗料・接着剤・工業薬品には、消防法上の危険物(引火性液体等)に該当する原料や製品が含まれる場合があります。指定数量以上の危険物を扱う施設で設備を導入・変更する際は、所轄消防署への事前相談が必要になることがあるため、設備選定の段階で確認してください。化粧品原料を扱う場合は、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)上の製造業許可や品質管理体制が別途必要になることがあります。こうした許認可は本補助金の交付要件そのものではありませんが、設備導入計画とあわせて所管窓口に確認しておくと手戻りを防げます。

悪質な申請代行・無料相談業者への注意

中小企業省力化投資補助金をめぐっては、公式の事務局を装ったり、高額な成功報酬を求めたりする悪質な業者の存在が指摘されています。GビズIDの取得やJグランツでの申請自体は事業者自身で行うことができ、公式ポータルや中小機構が特定の代行業者を紹介することはありません。不審な勧誘の見分け方は中小企業省力化投資補助金の怪しい勧誘チェックリストにまとめています。

申請の流れ(カタログ注文型・一般型)

両類型とも電子申請で、GビズIDプライムアカウントの取得が前提になります。申請書類の全体像は申請手続き完全マニュアルで解説しています。

カタログ注文型のステップ

ステップ内容
STEP1GビズIDプライムアカウントを取得する
STEP2製品カタログから対象製品を選定する
STEP3製品ごとの販売事業者一覧から販売事業者を選定する
STEP4販売事業者と共同で事業計画を策定し、共同申請する
STEP5交付決定後、補助事業を実施する(交付決定日から原則12か月以内)
STEP6支払いに係る証憑・導入実績の証憑・事業計画の達成状況をまとめ、実績報告を提出する
STEP7実績報告の内容にもとづき補助額が確定した後、支払い請求を行い、補助金の交付を受ける
STEP8補助事業完了後3年間、毎年度の事業実施効果報告を提出する

出典:中小企業省力化投資補助事業公式ポータル「申請・手続きの流れ(カタログ注文型)」(2026年9月10日確認)。提出書類は従業員名簿・貸借対照表・損益計算書のほか、法人・個人事業主の別、人手不足要件、賃上げ要件などに応じて追加書類が必要です。必要書類の一覧は必要書類チェックリストを参照してください。

一般型のステップ

ステップ内容
STEP1GビズIDプライムアカウントを取得する
STEP2事業計画書を作成し、導入する機械装置・システム等を選定する
STEP3電子申請システムで応募申請する(採択まで3か月程度)
STEP4採択後、原則2者以上から相見積もりを取得し、発注先を選定する
STEP5交付申請を行う
STEP6交付決定後、補助事業を実施する(交付決定日から18か月以内)
STEP7完了日から起算して30日を経過した日または事業完了期限日のいずれか早い日までに実績報告書を提出する
STEP8実績報告の内容にもとづき補助額が確定した後、補助金の交付を受ける
STEP9事業計画期間の1年目終了後の最初の4月から5年間、毎年度の事業実施効果報告を提出する

出典:中小企業省力化投資補助事業公式ポータル「応募申請・交付申請の流れ(一般型)」(2026年9月10日確認)。応募申請時に提出する事業計画書のひな形の考え方は事業計画書テンプレート記事を参照してください。

併用できる他制度と重複受給の注意

公式ポータルでは、応募・交付申請時の要件として「補助金の重複に該当しないこと」を満たす必要があると明記されています。同一の設備・同一の経費に対して、本補助金と他の国の補助金を重複して受給することはできません。ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称:ものづくり補助金)など他の補助金と組み合わせを検討する場合も、対象経費が重複しないよう事業計画を分けて設計する必要があります。具体的な併用可否は各制度の最新の公募要領で確認してください。都道府県・市区町村の独自制度は本記事では確認できていないため、自治体の産業振興担当窓口にお問い合わせください。

化学工業向け申請前チェックリスト

申請前に確認したいポイント

  • 自社の従業員数・資本金から中小企業者・小規模企業者のどちらに該当するか確認した
  • GビズIDプライムアカウントの取得手続きを済ませた、または着手した
  • 導入したい設備が製品カタログに登録されているか(登録0件のカテゴリでないか)を確認した
  • カタログ注文型で足りない場合、化学プラント固有の設備を含めて一般型を検討した
  • 危険物や薬機法など、自社の原料・製品に関わる業法上の許認可を所管窓口に確認した
  • 正式な見積書(税込・型番明記)を取得済み、または取得の見込みが立っている
  • 交付決定前に発注・購入していない(今後もしないことを社内で共有した)
  • 労働生産性・賃上げの目標値を事業計画に落とし込む準備をした

必要書類の詳細な一覧は必要書類チェックリスト、申請手続き全体の流れは申請手続き完全マニュアルもあわせてご確認ください。

出典・参考情報

最終更新日: 2026年9月10日。補助率・補助上限額・公募スケジュールは制度改定や公募回の進行により変更される場合があります。必ず各公式サイトで最新情報を確認してください。本記事のシミュレーションはモデルケースであり、採択や補助額を保証するものではありません。

よくある質問(FAQ)

A

対象になり得ます。中小企業省力化投資補助金は日本国内で事業を営む中小企業等を広く対象としており、業種を化学工業に限定して除外する規定はありません。日本標準産業分類上、化学工業は製造業に区分されます。ただし、カタログ注文型で申請する場合は製品カタログに掲載された設備を選ぶ必要があるため、まず自社が導入したい設備に近い製品カテゴリがあるかを公式ポータルで確認してください。

A

2026年9月10日時点の製品カタログでは、原材料自動計量混合搬送装置(樹脂加工の着色剤・添加剤の計量・混合・搬送)、ボトルマーク合わせ装置やシュリンクフィルム収縮装置(化粧品・塗料等のボトル充填・包装)、無人搬送車・自動倉庫・パレタイズロボット(工場内搬送・保管)、CNC三次元測定機・自動画像測定機(検査・計測)、真空ろ過脱水装置(塗装ブースの排水・スラッジ処理)などが化学工業に関連するカテゴリとして挙げられます。詳細は本記事の「対象になりやすい設備」の一覧表をご覧ください。

A

カタログ注文型は補助率1/2以下、補助上限額は従業員5人以下で500万円、6〜20人で750万円、21人以上で1,000万円です(2026年3月19日改定後、大幅な賃上げ達成時はそれぞれ750万・1,000万・1,500万円)。一般型は補助率が中小企業1/2〜2/3・小規模企業者等2/3、補助上限額は従業員規模に応じて750万〜8,000万円(大幅な賃上げ達成時は最大1億円)です。金額は制度改定で変わることがあるため、必ず公式ポータルの最新版をご確認ください。

A

公式の製品カテゴリ説明では、原材料自動計量混合搬送装置の想定利用者は「プラスチック製品および色付き容器などの装飾品を生産する事業者」と明記されています。プラスチックの着色成形品を生産する工程における着色剤・添加剤の計量・攪拌・搬送の自動化が公式の活用例です。樹脂加工を行う中小企業であれば対象になりやすいカテゴリといえますが、実際の対象可否は導入予定の機種・販売事業者と個別に確認してください。

A

本補助金の交付要件自体に危険物の取り扱いを理由に対象外とする規定は公式ポータル上に見当たりません。ただし、指定数量以上の危険物を貯蔵・取り扱う施設で設備を新設・変更する場合、消防法にもとづき所轄の消防署への届出・相談が必要になることがあります。補助金の申請要件とは別に、設備選定の段階で所轄消防署や消防設備士に確認しておくことをおすすめします。

A

2026年9月10日時点の製品カタログには、反応槽や専用配合ラインなど化学プラント特有の設備を対象とするカテゴリは見当たりません。こうした個別現場向けのオーダーメイド設備・システムは、審査を伴う一般型で申請するのが基本ルートです。一般型は事業計画書の作成が必要で、採択まで応募申請から3か月程度かかります。

A

導入したい設備が製品カタログに登録されている汎用製品であれば、審査なし先着順で手続きが簡易なカタログ注文型が近道です。反応槽など個別設計の設備が必要な場合や、補助上限額をより多く使いたい場合は、審査を伴う一般型を検討します。両者の違いはカタログ注文型と一般型の比較記事で詳しく解説しています。

A

まずGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。取得には書類郵送後、一定の期間がかかるため早めに着手してください。そのうえで、カタログ注文型なら導入したい製品と販売事業者の選定、一般型なら事業計画書の作成と設備の選定を進めます。共通して、従業員名簿・貸借対照表・損益計算書などの書類が必要です。詳しい必要書類の一覧は必要書類チェックリストをご覧ください。

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本記事の監修

齊木祐介(株式会社ASI 代表取締役)

AI・ロボティクスの導入支援、補助金・助成金の活用支援、専門メディアの運営など複数事業を統括。実務で得た知見をもとに、本サイトの情報を監修しています(運営:株式会社ASI)。

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