この記事の結論
半導体後工程や電子部品(コネクタ・基板・センサー等)の実装・組立を担う中小製造業では、中小企業省力化投資補助金を使って外観検査・搬送・入出庫の自動化投資を行える可能性があります。この記事では2026年9月10日時点の公式ポータル情報にもとづき、半導体・電子部品製造業が対象になりやすい設備、補助率・補助上限額、申請の流れ
半導体・電子部品製造業の省力化補助金|2026年の結論
半導体後工程や電子部品(コネクタ・基板・センサー等)の実装・組立を担う中小製造業では、中小企業省力化投資補助金を使って外観検査・搬送・入出庫の自動化投資を行える可能性があります。この記事では2026年9月10日時点の公式ポータル情報にもとづき、半導体・電子部品製造業が対象になりやすい設備、補助率・補助上限額、申請の流れを整理します。
この記事の結論
- カタログに掲載された検査・搬送機器を選ぶならカタログ注文型(審査なし先着順、補助率1/2、補助上限500万〜1,000万円)
- 工場のレイアウトに合わせた専用設計の検査・搬送ラインなら一般型(審査あり、補助率1/2〜2/3、補助上限750万〜8,000万円)
- 2026年9月10日時点で「半導体」「電子部品」を名称に含む専用カテゴリはカタログに存在しない。対象になりやすいのは業種横断の検査・搬送カテゴリ
- いずれの類型も交付決定通知を受け取る前の発注・購入は補助対象外という共通ルールがある
より広い視点でこの補助金全体の仕組みを知りたい場合は中小企業省力化投資補助金2026年版の公式ガイドもあわせてご覧ください。金属加工業向けの活用例は鉄鋼・金属加工業の省力化補助金で解説しています。
中小企業省力化投資補助金の仕組み(カタログ注文型/一般型)
中小企業省力化投資補助金にはカタログ注文型と一般型の2つの類型があります。どちらも中小企業庁・中小機構が実施する制度で、対象は人手不足に悩む中小企業等です。まずは補助率・補助上限額・現行の公募スケジュールを整理します。より詳しい選び方の比較はカタログ注文型と一般型の比較で解説しています。
カタログ注文型の補助率・補助上限額(2026年3月19日改定後)
カタログ注文型は、あらかじめカタログに登録された省力化製品を、共同申請する販売事業者と選ぶ制度です。2026年3月19日に補助上限額が改定され、従業員20人以下の上限額が引き上げられました。
| 従業員数 | 補助率 | 補助上限額(通常) | 補助上限額(賃上げ目標達成時) |
|---|---|---|---|
| 5人以下 | 1/2以下 | 500万円 | 750万円 |
| 6〜20人 | 1/2以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 21人以上 | 1/2以下 | 1,000万円 | 1,500万円 |
出典:中小企業省力化投資補助金 公式|カタログ注文型とは(2026年9月10日確認)。賃上げ目標は「事業場内最低賃金を3.0%(日本銀行が定める物価安定の目標2%+1.0%)以上増加」かつ「給与支給総額を6%以上増加」です。
2026年3月19日より前の申請には別の上限額が適用
2026年3月18日以前の上限額は5人以下200万円(300万円)、6〜20人500万円(750万円)、21人以上1,000万円(1,500万円)でした。改定前の条件が適用されるのは「2026年3月16日17:00までに提出され、不備なく受理された申請」に限られます。出典:中小企業省力化投資補助金 公式|2026年3月19日制度改定(資料更新日:2026年2月24日)。
2回目以降の交付申請では、各申請時点の補助上限額を2倍にした額が1事業者あたりの累計補助上限額となり、前回までの累計交付額を差し引いた範囲で申請できます。また、前回の補助事業で得られた省力化効果を報告することと、前回申請時より事業場内最低賃金を一定率以上(2年未満なら3.5%、2年以上なら7.0%、3年以上なら10.5%)上昇させていることが2回目以降の要件として追加されています。出典:同上(2026年3月19日制度改定ページ)。
一般型の補助率・補助上限額・対象経費(第8回公募)
一般型は、事業者の個々の業務に応じて設計された専用設備(オーダーメイド設備)の導入を、外部有識者の審査委員会による審査を経て補助する制度です。カタログ型より補助上限額が高く、審査項目も多くなります。
| 従業員数 | 補助上限額(通常) | 補助上限額(大幅賃上げ特例時) |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
補助率は中小企業1/2(最低賃金引上げ特例適用時は2/3)、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者は2/3です。対象経費は機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費で、いずれも交付決定日以降に契約(発注)したものに限られます。事業実施期間は第8回公募要領(更新日:2026年8月18日)で「交付決定日から17か月以内(採択発表日から19か月後の日まで)」と定められています。出典:中小企業省力化投資補助金 公式|一般型とは、一般型公募要領(第8回公募)(更新日:2026年8月18日)(いずれも2026年9月10日確認)。
基本要件は4つ
- 労働生産性の年平均成長率が+4.0%以上
- 1人当たり給与支給総額の年平均成長率が+3.5%(物価安定の目標2%+1.5%)以上
- 事業場内最低賃金が事業実施都道府県の最低賃金+30円以上
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表等(従業員21名以上の場合のみ)
現行の公募スケジュール(2026年9月10日時点)
カタログ注文型は2024年8月9日より公募回ごとではなく随時受付に変更されており、採択・交付決定は申請から概ね1〜2ヶ月程度とされています。2026年3月19日の改定で申請受付期間が延長され、改定後は2027年3月末頃までとなっています。出典:中小企業省力化投資補助金 公式|スケジュール(カタログ注文型)(2026年9月10日確認)、同|2026年3月19日制度改定。
一般型は公募回制で、直近の公募スケジュールは以下のとおりです。
| 公募回 | 公募開始日 | 申請受付開始日 | 公募締切日 | 採択発表日 |
|---|---|---|---|---|
| 第6回 | 2026年3月13日 | 2026年4月15日 | 2026年5月15日17:00 | 2026年8月28日 |
| 第7回 | 2026年6月5日 | 2026年7月1日 | 2026年7月31日17:00 | 2026年11月中旬(予定) |
| 第8回 | 2026年8月18日 | 2026年9月中旬(予定) | 2026年10月中旬(予定) | 2027年2月上旬(予定) |
出典:中小企業省力化投資補助金 公式|スケジュール(一般型)(2026年9月10日確認)。公募回は年3〜4回を予定。第9回のスケジュールは詳細確定次第更新されるとのことです。第1〜6回の申請数・採択数は採択結果(一般型)で公表されています(第6回:申請1,841件・採択1,176件)。
半導体・電子部品製造業で対象になりやすい設備
半導体後工程(ダイシング・ボンディング・モールド・マーキング等)や、コネクタ・基板・センサーといった電子部品の実装・組立ラインでは、目視に頼ってきた外観検査と、フロア間・工程間の搬送・入出庫が省力化投資の対象になりやすい工程です。2026年9月3日更新版の「製品カテゴリ」(製品カテゴリ総件数195、製品登録総件数2,932)を確認したところ、半導体・電子部品という業種名を冠した専用カテゴリはありませんが、業種横断で使える検査系・搬送系のカテゴリが該当します。出典:製品カテゴリ(中小企業省力化投資補助事業)(発行:令和8年9月3日)。
検査・計測系の製品カテゴリ
外観検査・非破壊検査・寸法計測にあたるカテゴリは以下のとおりです(カタログ注文型・対象業種「製造業」を含むもののみ抜粋)。
| カテゴリ番号 | 製品カテゴリ名 | 製品登録数 | 対象業種 | 対象業務領域 |
|---|---|---|---|---|
| 3-3-1 | インライン非破壊検査装置(内部不良検査) | 11 | 製造業・卸売業 | 検査 |
| 3-3-2 | インライン非破壊検査装置(外部不良検査) | 4 | 製造業・卸売業 | 検査 |
| 3-8-1 | CNC三次元測定機 | 76 | 製造業 | 検査 |
| 3-8-2 | 自動画像測定機 | 25 | 製造業 | 検査 |
| 3-8-4 | AI外観検査用画像処理システム | 0 | 製造業、卸売業 | 検査 |
| 3-8-5 | 歯車検査機 | 0 | 製造業 | 検査 |
| 3-6-1 | 蛍光X線膜厚測定器 | 12 | 製造業 | 検査 |
| 3-13-1 | 自動分析計測機器 | 4 | 製造業 | 計測・分析 |
| 2-2-2 | 検品・仕分システム | 6 | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業 | 検査、保管・在庫管理等 |
出典:製品カテゴリ(発行:令和8年9月3日)目次より。製品登録数は同時点の件数で随時更新されます。
「AI外観検査用画像処理システム」は2026年9月3日時点で登録製品0件
カテゴリ自体は存在しますが、2026年9月3日発行の製品カテゴリPDFでは製品登録数が0件と記載されています。導入したい機種がカタログに未掲載の場合は、一般型での申請を検討するか、製品カタログ検索で最新の登録状況を確認してください。外観検査AIの活用方法は検品・検査AIの補助金活用ガイドでも解説しています。
搬送・保管・ピッキング系の製品カテゴリ
工程間搬送・部材の入出庫・ピッキングにあたる「物流システム機器」カテゴリ(対象業種に製造業を含むもの)は以下のとおりです。
| カテゴリ番号 | 製品カテゴリ名 | 製品登録数 | 対象業種 |
|---|---|---|---|
| 2-2-1 | 無人搬送車(AGV・AMR) | 43 | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業 |
| 2-2-3 | 自動倉庫 | 19 | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業 |
| 2-2-4 | ピッキングカートシステム | 7 | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業、運輸業 |
| 2-2-5 | ラックシステム(垂直回転ラック) | 3 | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業 |
| 2-2-6 | ラックシステム(移動ラック) | 9 | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業 |
| 2-2-7 | ラックシステム(流動ラック) | 2 | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業 |
| 2-2-8 | 垂直搬送機(貨物専用) | 10 | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業 |
| 2-2-9 | デジタルピッキングシステム | 8 | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業、運輸業 |
| 2-2-10 | パレタイズロボット | 45 | 製造業、倉庫業、卸売業 |
| 2-2-11 | 無人フォークリフト(AGF) | 4 | 製造業、建設業、倉庫業、卸売業 |
| 2-2-12 | バラ積みピッキングロボットシステム | 1 | 製造業 |
| 2-12-1 | パワーアシストスーツ | 3 | 建設業、運輸業、製造業、倉庫業 |
出典:製品カテゴリ(発行:令和8年9月3日)目次より。
「後工程自動化機能付成形品取出しロボット」は半導体の後工程とは別物
カタログには「後工程自動化機能付成形品取出しロボット」(3-5-3、96製品登録)という名称のカテゴリがありますが、これはプラスチック成形機の取り出し後の二次加工を自動化する装置を指すもので、半導体後工程(ダイボンディング・ワイヤボンディング・モールド等)向けの専用カテゴリではありません。名称の類似で混同しないようご注意ください。計量・包装まわりの設備は自動計量包装機の補助金ガイドで扱っています。
カタログに無い専用ラインは一般型のオーダーメイド枠で
実装機・ボンダー・自動搬送を組み合わせた専用の生産ラインなど、カタログに登録されたカテゴリに当てはまらない設備は、一般型のオーダーメイド設備として申請します。なお、製品カタログに登録されているカテゴリに該当する製品を一般型で導入する場合は、審査の際に一部考慮されます。出典:中小企業省力化投資補助金 公式|一般型とは(2026年9月10日確認)。
中小・小規模の製造事業者やベンチャー企業が開発した革新的な省力化機器については「イノベーション製品応援プログラム」があり、一般型では審査の際に考慮され相見積もりが不要に、カタログ注文型では一般型の審査を経てより簡易にカタログ登録を進められます。自社の設備がカタログに未登録の場合、装置メーカー側にこの制度の活用を相談する余地があります。また、両類型ともファイナンス・リース取引を利用した導入が可能です。出典:同|カタログ注文型とは、同|制度更新履歴(2024年12月12日:ファイナンス・リース取引の申請受付開始)。カタログへの製品登録の流れはカタログ登録ガイドで解説しています。